3,000万円で買った家は、いくらで売れるでしょうか。ここでは3,000万円で購入した家がいくらで売れるかを、築年数ごとに紹介していきます。いくらで売れるかは戸建てやマンションによっても変わりますが、今回は下記の前提での売却価格を紹介します。
【前提条件】
木造戸建て住宅
土地価格:1000万円
建物価格:2000万円
※土地価格は変動しないものとする
築年数1〜5年で売った場合
築1~5年で売った場合は、2,900万円~2,600万円程度が価格の目安です。一般的な木造の戸建て住宅は法定耐用年数の終了する22年後には、価格が新築時の10%程度まで下落すると言われています。年数の経過に比例して建物価格は下落しており、築年数が1年増えると約4%程度価値が減少します。
つまり、築1~5年であれば約4~20%程度建物の価値が下がると言えるでしょう。土地の値段は変動していないと仮定しているため、売却価格の目安としては2,900万円~2,600万円程度と言えるでしょう。
築年数10年で売った場合
築10年で売却した場合の価格目安は、2,200万円程度です。築10年経過すると建物の償却がさらに進み、前述の耐用年数をベースに考えると建物価格は約4割程度下落します。また築10年経過すると、早い場合は修繕が必要になってくる箇所も出てきます。そのため価格も一概に4割下落するわけではなく、物件ごとの特徴や利用状況によって差が出てくるでしょう。
築年数20年で売った場合
築20年で売却した場合の価格目安は、約1,400万円です。木造の場合新築から20年を経過すると、耐用年数上の価値はほとんどありません。そのため売却価格に占める割合は、ほとんどが土地代になってしまいます。また築20年にもなると修繕の実施状況によって、建物の劣化に大きな差が出てきます。外壁などの必要な修繕を行っているかどうかで、売却価格にも大きな違いが出るでしょう。
この記事を見ている人はこちらも読まれています
家を売却するコツと注意点とは?不動産売却のための必要な知識を解説
引っ越しや買い替えなどで自宅の売却を考えている方も多いでしょう。しかし不動産の売却に慣れている方は少なく、金額も大きい取引のため不安や悩みを抱えている方もい...
築年数が浅いほど高く売れる
ここまで説明してきたように、家は築年数が浅いほど高く売れます。1年・1ヶ月と経過する内に経年による劣化が進むため、高く売るためには1日でも早い売却がおすすめですが、具体的には築何年程度が高く売れる目安になるでしょうか。
売却するなら築年数5年以内がおすすめ
戸建てを売却する場合は、築5年以内に売却することがおすすめです。築5年以内であれば修繕なども当面は必要なく、家の状態がよいため購入者の需要も高いと言えます。戸建ての購入を検討する購入者は、「新築」と「中古」どちらにするかをまず検討します。
その中でも「中古」を検討する方は、できるだけ割安で状態のよい物件を探す傾向が強いです。築5年以内の物件であれば新築と比べての建物の状況は遜色なく、一方で価格は新築に比べると割安感があります。中古戸建てを購入する際はリフォームを検討する場合も多いですが、築5年以内であればリフォームが不要な場合も多いでしょう。戸建てを売却する際は需要の高い築5年以内に売却しましょう。
この記事を見ている人はこちらも読まれています
空き家の買取をしてもらうメリット・デメリットとは?高く買取してもらうためのポイントをご紹介
昨今、空き家が増え続けている(空き家問題)というニュースを耳にする機会も多いのではないでしょうか。空き家が増えている一方で、空き家を買いたいというニーズは間...
3000万円で買った家がいくらで売れるか調べる方法
ここまで3,000万円で購入した家がいくらで売却できるかについて説明してきましたが、実際の売却価格は家の立地や状況によっても大きく変わります。条件のよい物件で不動産価格が上昇している局面であれば4000万円や5000万円で売却できる可能性もあるでしょう。ここでは実際の売却価格を調べる方法を紹介します。
不動産会社に査定依頼をする
家の売却価格を調べる方法の1つが、不動産会社に不動産の査定を依頼する方法です。不動産会社に依頼をすれば、不動産の売却価格の目安を無料で査定してくれます。査定は築年数だけでなく実際に不動産会社の担当が現地を訪問して物件の状態を見たうえで算出してくれるため、物件ごとの特性を踏まえた正確な数字がわかります。
ただし注意したいのは、査定価格は不動産会社が「このくらいの価格で売却できるだろう」という目安です。そのため査定でよい価格が出たからと言って、かならずしも査定通りの価格で売却できるわけではありません。不動産会社にとって無料査定は正式に売却を依頼してもらうための営業ツールです。
不動産会社によっては売却を依頼してもらうために、高めの価格で査定を出してくるケースもあります。不動産会社の査定を確認する際には、価格の根拠などを細かく確認するようにしましょう。
近隣で条件の近い家の売却価格を参考にする
不動産の売却価格を調べるには、近隣の売買事例を参考にする方法もあります。不動産の価格を決める際には、近隣の売買事例を参考にするケースはとても多く、不動産の鑑定評価にも使われる手法です。近隣事例を参考にする際は、駅からの立地や築年数などできるだけ近い条件の事例を参考にするようにしましょう。
不動産は物件ごとに違いがあり、まったく同じものはありません。そのため近隣事例の価格がそのまま売却価格になるわけではありませんが、近隣の売買事例をもとに物件ごとの特徴を加味した価格が提示できれば買主との価格交渉にも役立つでしょう。
近隣の成約事例を調べるには、不動産会社のサイトなどを参考にするほか、国土交通省が運営している「不動産情報ライブラリ」を参考にするとよいでしょう。こちらのサイトでは全国の戸建てやマンションの成約事例を簡単に検索できるため、売買価格の参考にしやすいです。
参照:国土交通省「不動産情報ライブラリ」
3000万円で買った家を高く売るポイント
家をできるだけ高く売るためには、次のようなポイントを押さえておきましょう。
・周辺相場を事前に確認しておく
・売れやすい時期に売却する
・売却実績豊富な不動産会社を選ぶ
・1社の査定だけで決めない
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
周辺相場を事前に確認しておく
家を高く売るためには、周辺相場を事前に確認しておくことが重要です。不動産の価格に決められた価格はなく、売買価格は売主と買主の交渉によって決まります。そのため相場よりも安い価格であっても、売主と買主の合意があれば売買は成立します。
家を売却する際に事前に相場を調べておかなければ、買主との交渉に失敗してしまうかもしれません。もし買主は不動産売買に慣れているプロの場合は、さまざまな理由をつけて値下げ交渉をしてくる可能性もあります。買主の口車にのって安く売却してしまわないためにも、事前に不動産会社の査定などを利用して相場を調べておくようにしましょう。
売れやすい時期に売却する
家を高く売るためには、売れやすい時期に売却することも重要です。不動産の売買は年間を通してみると、売れやすい時期と売れにくい時期があります。売れやすい時期は転勤や就職、入学などに合わせて引っ越しが増える春先や秋ごろの時期です。ライフイベントの変化に伴って家を購入する方が増えるため、家を売る場合はこの時期に合わせて売却するとよいでしょう。
不動産会社の決算がピークを迎える3月が一番売買が活発になる時期ですが、3月に入って売却を始めるのでは間に合いません。不動産の売却は早くても3カ月、一般的には6ヶ月程度かかるため3月に売却するためには売却活動の期間も見越して早めに動き始めるようにしましょう。
売却実績豊富の不動産会社を選ぶ
家を高く売るためには、不動産会社選びも重要です。戸建てに限らず不動産の売却において、不動産会社の果たす役割はとても大きいです。物件の査定から始まり売却価格の設定や買主の募集、価格交渉から契約の実務など多岐にわたります。いかによい不動産会社を選ぶかによって、売却の成否が決まると言っても過言ではありません。
戸建ての売却実績が豊富な不動産会社に依頼することで、少しでも高く売れる可能性が高まります。売却実績が豊富にあるかどうかは、自社サイトでの売却物件の掲載件数や口コミなどが参考になるでしょう。また業歴や宅建番号の古さに注目してみるのもおすすめの方法です。
1社の査定だけで決めない
査定を依頼する際には、必ず複数社の査定を比較することも重要です。ひとくちに不動産会社と言ってもさまざまで、それぞれ得意分野や営業エリアが違います。戸建てよりもマンションが得意な不動産会社もあれば、営業エリアが売却する物件のエリア外という場合もあるでしょう。
そのため同じ物件の査定でも、不動産会社によって価格が違います。不動産の査定を依頼する際に、1社だけの依頼であれば相場と違う数値になっているかもしれません。複数の不動産会社の査定を依頼することで、正しい売却相場がわかるでしょう。
家を売る際のよくある質問について紹介します。
Q1.家の査定額が決まる要素とは?
今回の記事では築年数による売却価格の違いについて紹介してきましたが、売却価格が決まる要素にはほかにどのようなものがあるでしょうか。
A1.築年数以外で査定額が決まる要素
築年数以外で査定額に影響のある要素には、次のようなものがあります。
・立地・周辺環境
・外壁・内装の状態
・間取り・日当たり
・接道状況・法的な制限
それぞれの内容について見ていきましょう。
立地・周辺環境
売却価格に影響する要素の1つが、立地や周辺環境です。都市部の物件では駅からの距離などの立地が、とくに重要です。駅からの距離が近ければ近いほど交通の利便性は高まるため、売却価格は高くなるでしょう。また最寄りの駅の利便性も重要で、ターミナル駅や急行が止まるような大きな駅だとさらに人気があります。
また戸建ての場合はファミリー層の需要も高いため、駅距離だけではありません。駐車場の有無や、車での交通アクセスの良さも価格に影響を及ぼすでしょう。子育て世帯の需要も高いため周辺に学校があるかどうか、病院や公園の有無なども重要な要素です。また小さな子供が安心して遊べるような静かな住宅街であれば、子育て世帯は安心して購入できるでしょう。
逆に周辺に墓地や暴力団の事務所のような嫌悪施設がある場合は、相場よりも安くなってしまいます。ほかにも大きな工場があるなどで騒音や臭いなどが気になる場合も敬遠される可能性があるでしょう。このように立地や周辺環境は重要で、戸建ての場合はとくにファミリー層が中心になることから価格への影響度合いが大きいと言えます。
外壁・内装の状態
外壁や内装など、家の状態も価格に大きな影響を与えます。築浅の物件であればあまり気にならないかもしれませんが、築年数が経過すればするほど物件の劣化は進みます。そのため外壁や内装などの傷み具合は物件によってさまざまで、価格に大きな影響がある要素です。
中古物件を購入する買主は、ある程度のリフォームを前提としている場合も少なくありません。そのため内装の汚れ具合などはリフォームにも直結するため、あまりに汚れがひどい場合はリフォーム代金が高くなってしまうため敬遠されてしまいます。また買主が物件購入を検討する際には内覧することがほとんどなため、室内が汚れていてはそもそも買い手がつきにくくなってしまうでしょう。
外壁も重要で、家の第一印象は外壁を含めた外観で決まります。購入を検討している買主が内覧に来た際、まず目に入るのは外観です。外壁の汚れや破損などが目立ってしまうと物件の第一印象が悪くなってしまい、購入意欲も下がってしまうでしょう。いくら室内を綺麗にしていても、第一印象が悪ければ物件全体のイメージはよくありません。外壁や内装の状態が悪いとその分価格交渉も不利になりやすく、価格に大きな影響のある要素と言えるでしょう。
間取り・日当たり
間取りや日当たりも、価格に影響を与える大きな要素の1つです。戸建ての場合はファミリー層が多いため、寝室や子供部屋などをある程度確保したい買主が多いです。そのため部屋数が極端に少ないなど、使い勝手の悪い間取りは敬遠されてしまうでしょう。一方でトイレが各階にあったり、家事などの導線がよかったりする物件であれば需要も高いです。
同じように日当たりも重要で、やはり日当たりのよい物件ほど人気があります。同じ住宅街でも日当たりのよい南向きと、北向きでは数百万程度価格に差があることも珍しくありません。また日当たりだけでなく風通しや前面道路の交通量など、快適に暮らせる環境かどうかも大きなポイントです。
接道状況・法的な制限
接道状況や、法的な制限なども抑えておきたい要素です。建物を建築するためには、建築基準法に定められた道路に接道している必要があります。逆に言えば接道義務を果たしていない物件は、建物を建て替えられません。築年数の古い物件などは、まれに接道義務を果たしていない場合もあります。
このような土地の場合は建て替えができないため、価格が大幅に安くなってしまいます。接道義務を果たしていても高低差があるなど、使い勝手に影響があるような場合も価格に影響があるでしょう。また法的な制限も価格に影響を及ぼす場合もあります。たとえば戸建てであれば周辺に高い建物が建つことを嫌がる方が多いため、商業地よりも高い建物が建築できない住宅地のほうが人気があります。このように立地や周辺環境だけでなく、接道義務や法的な制限によっても価格に影響が出ることもあるでしょう。
23区内の北に位置しているので北区と命名されたのは、昭和22年。王子区と滝野川区が合併して新しい区が誕生する際に、区名選挙委員会で決定されました。下町のような庶民的な風情がある場所と、再開発が進んだマンション群が同居する現在の北区。多くの路線が通るアクセス至便なエリアとして、知名度、人気ともに上昇中です。
そんな北区とは実際はどのようなところなのか、さまざまなポイントから確認してみましょう。
東京の北部に位置している北区は、足立区、荒川区、文京区、豊島区、板橋区に隣接しています。北側の荒川や隅田川が区境になっていて、その向こうは埼玉県です。南北に細長い区の形で、20.61㎢の面積は23区内で11番目の広さ。人口は令和4年8月現在で35万3500人となっています。
お年寄りの比率が高いと言われる区ですが、近年は大型マンションなどが建設され、子育て中のファミリー層の割合も少しずつ高くなっています。区では令和3年に北区民意識・意向調査を実施していますが、その調査結果ではずっと北区に住み続けたい当分は住み続けたいという定住意向の人が9割弱という結果でした。暮らしやすい北区を証明する調査結果と言えそうです。
北区の地勢は京浜東北線のラインに沿って二分することができます。南西側は飛鳥山を中心にした台地で、北東側の半分は荒川沿いの低地になっているのが特徴です。
このように区域は土地の高低差で分けられますが、さらに横に4分割することもできます。最北端の浮間舟渡のエリアは、荒川のすぐ脇に位置していて低地が広がっています。公園などが多くファミリー層が多く住んでいる一帯です。その南側のエリアは赤羽を中心としたエリアで、赤羽駅のアクセスのよさと豊富な商業施設がある一帯です。さらに南に位置する十条から王子までのエリアは、区の行政の中心地にあたり観光名所も豊富。さらに南の西ヶ原、上中里、尾久などのエリアは、下町的な雰囲気もある閑静な住宅街です。
北区内を走る路線は、JRだけで京浜東北線、山手線、宇都宮線、高崎線、埼京線が通っています。駅の数は計11。実は北区は、JRの駅が都内最多とエリアなのです。
また、JR以外も東京メトロの南北線、都電荒川線、埼玉高速鉄道線の埼玉スタジアム線など、多数の路線が通っています。
路線や駅の多さからもわかるように、北区は都内各方面をはじめ、埼玉、東北方面へのアクセスがとても便利。埼京線で池袋、新宿、渋谷方面へ、京浜東北線で東京、有楽町方面へ、南北線で後楽園、四ツ谷、六本木一丁目、目黒方面へ。こうしたフットワークの良さが、北区の人気の一因なのでしょう。
一方、バスは、都営バス、国際興業バスが運行しています。北区のコミュニティバスは、Kバスの愛称で2ルートで通っています。
王子駅は北区の中心的な駅で、JR京浜東北線が通っています。
王子駅周辺には区役所があり、桜の名所・飛鳥山公園やキツネの行列で知られる王子稲荷神社もあります。そのためか王子駅の一日あたりの乗降客数は13万人近くにも上ります。
JR王子駅周囲には、東京メトロ南北線の駅、都電荒川線の停車場、そして飛鳥山公園の山頂へ至るモノレールアスカルゴの乗降場もあります。
京浜東北線、埼京線、湘南新宿ライン、宇都宮線が通っているJRの駅。北区の北側エリアの中心的な駅が赤羽です。
一日の平均乗降者数は19万4498人。私鉄などの乗り換えはない駅ですが、埼京線など都内近郊の移動に便利な路線が通っているので、利用者が多くなっています。
駅構内にエキュート赤羽があるほか、駅周辺の商業ビル赤羽アピレ、アーケードのある商店街LaLaガーデンなど、駅周辺に商業施設が豊富に集まっています。
子育てするなら北区が一番をキャッチフレーズにしている北区。公園なども多い北区は、子育てに適した環境ですが、行政サービスはどうなのでしょうか?
北区のホームページを覗いてみると北区子育て応援サイトのきたハピというページに目がとまります。きたハピでは、北区の子育てについての情報を、目的と年齢から探すことができます。
「目的から探す」では、例えば、子育て世帯のための手当てや助成について解説していて、乳幼児から中学生を対象に、北区在住の子どもが病院や薬局などにかかった費用を区が助成についてを掲載しています。また、高校生向けの医療費助成でも、入院が必要になった場合には保険適用の自己負担分を支給する支援も掲載されています。
高校生までこうした助成があるのは、都内でも珍しいものでしょう。このほか、保育園や幼稚園の情報、ひとり親家庭への支援情報、相談窓口などの案内もあります。
「年齢から探す」は、妊娠中から、中学・高校まで5段階に分かれていて、それぞれの年齢に合わせて、遊ぶ場や相談窓口、支援情報などをわかりやすく提示。
また、きたハピモバイルというデジタルでのサービスも行っていて、子育てに関する情報発信も実施しています。
なお、北区の待機児童数は、令和3年では18人で、残念ながらゼロは達成できていませんが、前年度からはマイナス61人と急減している実績も注目したいところです。
北区のユニークな取り組みとしては、区内の親世帯の近くに子育てファミリーが暮らす場合の親元近居助成を設けていること。また、子育てにっこりパスポートも挙げられます。これは北区内の協賛店でパスポートを提示すると、一定のサービスや割引などが受けられるというもの。子育て世帯を応援するとともに、地元店舗の支援にもつながる制度です。
また、0~5歳までの子育て中の保護者が悩みや相談ごとをグループで話し合う親育ちサポート講座も開催。これはカナダ生まれの支援プログラムを採り入れた試みで、区内各所で開催し毎年300人の保護者が参加しています。講座の開催中は別室で子どもを預かってくれるので、子どもから離れて同じような悩みをもつ保護者とつながれるので、子育ての悩みが軽減でる催しです。
警視庁の令和2年の犯罪発生件数で確認すると、北区は犯罪の少ない方から9番目と健闘しています。
また、区内の犯罪発生件数は、少しずつですが減少傾向にあり、比較的安心して暮らせるエリアだといえるでしょう。
犯罪の傾向としては、もっとも多いのは非侵入窃盗で、1000件を超えていて、なかでも自転車盗が500件ほどと大半を占めています。
北区内で犯罪が多いエリアは、赤羽駅東口周辺の繁華街です。下町らしい風情が残る一方、雑多な飲み屋街や風俗店があるので、自転車盗などのほかに暴行事件なども発生していて、区内の他の地域より5倍の犯罪率となっています。また、北区の南側に位置する人口密集地・田端周辺も犯罪発生率は高め。ただし犯罪の種類としては、そのほとんどは自転車盗となっています。
3番目を挙げるなら王子駅周辺です。やはり人の往来の多い場所は犯罪の発生も必然的に多くなりますが、都内の犯罪発生率と比べてみると、その平均よりは低くなるので、さほど心配はいらないでしょう。
なお、北区の洪水・土砂災害などの危険度ですが、荒川など低地に近いところや、土地の高低差が大きい場所は日頃から注意が必要です。具体的に言えば、埼玉寄りの荒川に近いエリア、豊島区から続く台地状の地形と低地との境目は危険度が高くなります。
一方、地震で気をつけたいのは、住宅密集地での建物倒壊と低地での液状化です。
王子駅からすぐの広大な公園。公園の敷地は名前の通りにこんもりとした山で、江戸時代からお花見の名所として親しまれてきた場所です。明治6年、太政官布達によって日本で最初の公園の一つとして指定されました。
公園の始まりは、享保年間に8代将軍徳川吉宗の享保の改革の1つとして行楽地を造営したことから。桜の名所に指定して、ほかでは禁止されていた飲酒を伴う宴会が飛鳥山では許可されたので評判になりました。庶民はさまざまに趣向を凝らしてお花見を楽しんだようです。
近年は坂道を歩かなくてもよいように、王子駅中央口と飛鳥山山頂を2分で結ぶモノレール・アスカルゴができました。
30,780.86㎡の敷地は高低差があり、斜面に西洋庭園、低地に和風庭園という趣の異なる庭園が造られています。
2つの庭を見守るように建つ洋館が丘の上にあります。
明治期に活躍した政治家・陸奥宗光の邸宅として整備されたことに始まりますが、彼の次男が財閥古河家の養子に入ったことから古河家の所有へと移りました。
洋館と洋風庭園はギリス人建築家のジョサイア・コンドルが設計しました。コンドルは鹿鳴館やニコライ堂を設計した建築家。明治から大正期にかけて日本では西洋建築が導入されるようになりましたが、彼はその指導者の一人です。幾何学的な刈込みのある整形式洋風庭園はバラが有名で、春バラ、秋バラの開花に合わせてバラフェスティバルも催されます。
一方、和風庭園は小川治兵衛の作庭。小川は京都の無鄰菴や丸山公園などの作庭で知られる著名な造園家。旧古川邸では土地の高低差を活かして、植栽を配置した中に、池や滝なども造って多くの見どころを設けています。
旧古川公園は、平成18年に国の名勝に指定されました。
武蔵野台地の大きな段差の崖地のような地形を利用して造られた公園です。山の渓流を再現したような水の流れは約150mに及び、利用する水は毎分5トンという大容量で驚かされます。水は減菌処理もされているので、小さな子どもが水遊びするのにもおすすめ。長さ52mのローラー式滑り台もスリル満点です。
敷地には300本余りの樹木が植えられているので、自然の中を散策する気分が味わえます。広い芝生広場でまったりするのも心地よさそうです。
石神井川のかつての流れを利用して、昭和63年に開園した公園です。日本の都市公園100選の一つに選ばれています。
王子駅からすぐの場所ですが、川沿いにサクラやカエデが植えられていて緑が濃い公園です。流れの水位は膝下ぐらいに調整され、水遊びができるようになっています。滝や水車なども設けられていて、さまざまな水の表情が眺められる公園です。
東国三十三国稲荷総社という高い格式をもつ神社です。大晦日に稲荷の使いである狐が関東一円から集まり、この神社へ初詣をしたという言い伝えがあります。
平成5年、地元では、その伝承を活かして大晦日の夜に狐の装束をして詣でるようになり、年々、大掛かりになりました。
また、2月の丑の日には凧市が開かれます。火事除けの火防の凧を買い求める人が多く、この日もとても賑わいます。
王子稲荷神社は、民話王子の狐火や落語王子の狐でも知られます。
1つは、十条駅北口にあるアーケードの十条銀座商店街。アーケードは十字の形になっていて、加盟店は170店舗ほど。一部はアーケード外のお店もあります。
さまざまな業種のお店がありますが、この商店街の特徴は惣菜天国という点。焼き鳥、コロッケ、おにぎり、ぎょうざ、だんご、お稲荷さんなどなど、食べ歩きが堪能できます。
また、もう1つの商店街は東十条駅前から東に伸びる東十条商店街で、この一帯は戦前からお店が点在していたそう。現在は約160店ほどの店舗数で食料品店や飲食店を中心に、雑貨店や花屋、自転車屋などさまざまなお店がひしめき合っています。
シーズンに合わせたお祭りやセールが年に4回行われていて、普段以上に賑わいます。子どもたちがとりわけ盛り上がるのはハッピーハロウィン 東十条でしょう。趣向を凝らした仮装で商店街を歩きます。
北区は、この他にも昔ながらの商店街がたくさんあります。そんな親しみやすさが北区の魅力の1つでしょう。
23区内の北東部に位置する荒川区は、重要な水運である隅田川と、江戸と東北を結ぶ奥州街道が交わる要衝として栄えてきました。下町情緒の残る郷愁を感じさせるエリアで、区域を横に走る都電・荒川線もそんな懐かしい雰囲気を醸しています。ところが現在の荒川区は再開発が進み、大型のマンションが続々と建てられて、川沿いの景色も日々更新されています。
そんな変貌中の荒川区にスポットをあてて、どのようなエリアなのか、どんな魅力が潜んでいるのか、さまざまな観点から探ってみましょう。
東西に長く、鳥が羽を広げているようにも見える荒川区の形状。面積は10.20㎢で23区内では21位と比較的小さな区。人口は21万7000人です。足立区、北区、台東区、墨田区に囲まれています。区の名前は北側を流れる荒川から命名されました。
江戸時代この一帯は農民が多く暮らしていて、将軍家の鷹場や江戸市中の庶民が遊びに来る行楽地などがありました。明治に入ると荒川の流れを利用して工場が建てられるようになる一方、職住一致で職人が多く暮らすエリアでもありました。
荒川区の人口は1990年代まで減少傾向にありましたが、最近はファミリー層を中心に増加傾向にあります。工場跡地を再開発してできた大規模マンションが建設されているからで、それに伴い地価も上昇しています。現在の人口密度は21.4人と豊島区、中野区についで3番目の高さです。
蛇行する隅田川に沿って複雑な形をした荒川区は、南北より東西に長い区域です。
JRは区域の端を通っていて区内をつなぐ路線ではありません。区域を横につないでいるのは都電荒川線で、区民の足として親しまれています。
また、舎人ライナーや東京メトロ千代田線、日比谷線などが区域を斜めに通り、区内と近隣区とをつないでいます。
荒川区内を運行するバスは都営バスのほか、荒川区のコミュニティバスが3ルートで巡回。コミュニティバスのおかげで電車の行き来の少ない地域と近隣駅との連絡が便利になりました。
日暮里駅の住所は荒川区ですが、台東区との境に位置していてホーム上に区境がある珍しい駅となっています。
JR山手線と常磐線が通ってるほか、上野と千葉県を結ぶ京成本線が通っています。
また、都が運営する唯一の案内軌条式鉄道の日暮里・舎人ライナーも乗り入れしています。
東京メトロ千代田線、京成本線、都電荒川線が通っていて乗り換え駅になりますが、駅はそれぞれ別で、乗り換える場合はいったん、改札を出なくてはなりません。
それでも上野駅まで9分、秋葉原駅まで12分とアクセス至便な駅であることは間違いありません。
また、都電の町屋駅周辺は、住民が世話をしているバラが有名です。春と秋を中心に多種類のバラが咲き誇り、行き来する人を楽しませんてくれます。最盛期の5月頃にはあらかわバラの市も開催。都電の名物の一つになっています。
荒川区は、毎年行われる全国自治体ランキングで行政サービス部門て上位にランクインされることが多い区です。
平成20年度は子育て環境分野では全国2位、平成27年度も共働き子育てしやすい街ランキングで全国1位と高く評価されています。ファミリー層が増加傾向にあるのは、そうしたことも背景として大きいのでしょう。
子育て環境の指標となる待機児童数は、令和4年度はゼロとなっています。
荒川区の子育てファミリーの支援策は多岐にわたり、ほかでは見られない施策も少なくありません。
妊娠中から18歳未満の子どもがいる保護者の相談を、専任スタッフが通話料無料のフリーダイヤルで24時間受け付けてくれるあらかわキッズマザーズコール24は最たるもの。子育てファミリーにとって心強い味方です。
また、病気やケガ、行事などで育児や家事ができない場合に、ベビーシッターやホームヘルパーを派遣してくれるひとり親家庭サポート事業、双子や三つ子などのファミリーを支援する「ツインズサポートサービス」などもユニークな制度です。
もちろん助成金などの手当ても充実していて、児童育成手当および障害手当、児童扶養手当、ひとり親家庭医療費助成、出産育児一時金、入院助産費用助成など、多くの支援制度があります。
警視庁の令和2年の区市町村別の治安を示すデータによると、荒川区は23区内で文京区についで治安が良く第2位です。荒川区は平成16年に防犯パトロールを強化し、区民の防犯対策品の購入に補助金を出すなどの施策を行う「防犯都市宣言」をしています。また、目立った繁華街がないのも、犯罪が少なく抑えられている要因でもあるでしょう。
そんな安心して暮らせる荒川区ですが、犯罪がまったく起こらないと言うことではなく、要警戒のエリアももちろんあります。
居酒屋やパチンコ店、風俗店などがある日暮里駅から西日暮里駅の間や、下町の雰囲気を残す住宅街である東尾久駅周辺も、やや治安の悪い一帯です。区内でもっとも人口の多い南千住も要注意です。これらの駅で起きている犯罪は、自転車盗や万引きなどが中心ですが、車上ねらいや暴行、空き巣なども発生しています。こうしたエリアに出かけるときは、用心したいものですね。
23区で唯一の公営の遊園地で、隅田川沿いにあります。大正11年に開園されて以来入園者数は伸び続け、平成29年の時点では約42万も訪れるようになっていました。
未就学児向けのアトラクションが充実していることで知られていましたが、老朽化によって大掛かりなリニューアルを行い、令和4年の春に再オープンしました。
園内中央の観覧車周辺はのりもの広場になっていて、ほかには水遊びができるコーナーやポニーに乗れるコーナー、釣りのできるコーナーなどがあります。
また、子どもたちに人気の動物と触れ合えるどうぶつ広場は、リニューアルにともない小学校の跡地を吸収して拡張されました。近隣の子どもたちの笑顔が、これまで以上に増えそうです。
日暮里駅から3分ほどの日暮里中央通りを中心に、約90店舗の繊維や手芸用品を扱う店が集まっています。
大正から昭和にかけてこの一帯は問屋街として賑わってきましたが、次第に小売りも行うようになり、現在はデザイナーやアパレルメーカーなどのプロに交じって、物づくりを楽しむ一般のお客さんも多数訪れます。
布、革、糸などの専門店のほか、ボタンやアクセサリーのパーツ、型紙など、多様な商品を取り扱っています。
関連商品をこれほど取り扱う店が集まっている場所は貴重で、最近は海外のお客様も訪れるようになってきました。
都電の荒川2丁目か荒川7丁目が最寄り駅です。東京都水道局三河島水再生センターの上に築いた人口地盤に造成された公園です。
1970年代にテニスコートや野球場、プールなどが造られた後、アスレチック広場、水辺広場、野草園、昆虫観察園などが造られました。昭和57(1982)年には「新東京百景」にも選定された景勝地です。
市民利用のスポーツ施設として、季節ごとに趣きを変える植え込みや鳥、昆虫などの自然観察の場所として親しまれています。
かつてチンチン電車と呼ばれて親しまれた路面電車は、ピーク時には都内で40路線も走行していました。
都電荒川線は、現在、都内に残る唯一の路面電車。その走行距離の半分近くは荒川区内を通っているので、荒川区と路面電車は切っても切れない関わりがあります。
そんな路面電車にスポットをあてたのが、都電おもいで広場です。
広場に昔の停留所を再現し、昭和に活躍した2両の展示車両が並んでいます。車両の中では操作体験が可能で、子どもたちに大人気なのはもちろん、鉄道好きにもたまらない体験でしょう。
東京23区は、人口が増え続けていますがエリアによって増え方に差があります。
2010年の東京23区で総人口の増加率が高い区は、1位が中央区、以下10位までは、豊島区、
千代田区、港区、江東区、足立区、文京区、墨田区、新宿区、台東区となっています。トップ10までに入った区の多くは、東京23区の東側にあります。
中央区はウォーターフロントと称される月島、築地、晴海などに高層マンションが数多く建設され順調に人口が増えています。
そして日本橋や銀座では、表通りから少し行けば住宅地があります。何代にもわたってそこに住む人たちがいます。
日本の中心地とも言われる千代田区は、番町地区や麹町地区といった昔から続く高級住宅地に加えて、学生が数多く集まる神田地域があります。
電気街の秋葉原には高級賃貸マンションが増えたこともあり、その結果人口が増加しました。
日本で最高レベルのブランド力を持つ港区には、麻布や白金の高級住宅街、汐留や台場のような大規模開発地区に一戸建てやマンションが多く供給されており、安定して人口が増えています。
墨田区は、東京スカイツリーの開業以来、国際観光地として活気が出るなどエリアのブランド化が進みました。それにともない、マンションが多く供給されるようになっています。
江戸時代の東京は、身分によって住むところが決められていました。武士などの上流階級およびその下人が多く住んだ場所は東京西部で、
京浜東北線や隅田川より東側は町民が住んでいました。
地形的に見ると東京西部は標高が高めで山の手と呼ばれ、東部の標高が低めのエリアは下町と呼ばれるようになり、現在もそのイメージが受け継がれています。
東京の各区は、明治時代以降江戸が東京となり誕生しましたが、第2次世界大戦終結後までに再編を繰り返しました。
東京23区の始まりは、明治11年に15区が設置されたのがその原形です。当時は、現在の千代田区、中央区、港区、新宿区の一部、
文京区、台東区、墨田区の一部、江東区の一部がその対象区域となりました。そして戦後の昭和22年、それまでの35区から23区に整理統合され現在に至っています。
山の手は、皇居から西の新宿区、文京区、世田谷区、目黒区、杉並区、中野区、練馬区、豊島区で、海や川に近い標高の低い台東区、
中央区、江東区、荒川区、墨田区、葛飾区、江戸川区、足立区は下町と呼ばれるようになりました。
住みたい行政区市のランキングによると、東京23区のトップ3は、1位世田谷区、2位港区、3位目黒区となっています。
以下9位までは、全て京浜東北線で区切ると西側のエリアとなり、10位にようやく中央区がランクインします。
東京23区で人口の増加が著しい街はどこなのかというと、2005~2010年の人口増加率は数値が高い順に1位中央区、
2位豊島区、3位千代田区、以下港区、江東区、足立区、文京区、墨田区、新宿区、台東区と続いています。
住みたい街ランキングで1位の世田谷区は13位、目黒区にいたっては20位です。住みたい街と実際に人口が増えている街は違うことがわかります。
人口の増加率が高い区は、中央区や江東区の湾岸部でその数が大幅に増加しています。ウォーターフロント、湾岸エリアに、
それまであった工場や倉庫が再開発され、商業施設や高層マンションが建設され若い世代が多く流入しています。
江東区では小中学校の新設や増設が間に合わず、結果2003~2007年までの4年間は、受け入れ困難地区指定制度
という条例で人口の増加を抑制せざるをえない事態となりました。そして追い討ちをかけるように、江東区では65歳以上の高齢者の割合も増加しています。
社会増で増えた人口は、高齢者と子どもの増加という2つの現象を同時に生み出し、小中学校の建設・整備だけでなく、高齢者対象の施設も充実させていく必要が出てきました。
防災やインフラ整備、ひいては2020年度の東京オリンピックメイン会場となる準備への対応、豊洲新市場の整備など、優先度が高い課題をどう対処していくが急務となっています。
日本は1970年に高齢化社会となって以来、24年後の1994年には高齢社会、11年後の2007年には21%を超えて
超高齢社会になりました。この日本の高齢化状況は、他の先進国には見られないスピードです。
日本では、1990年から2010年までの20年間で高齢化率が12.1%から23.0%へと約11ポイント上昇しましたが、
これだけの高齢化が進むのにイタリアでは50年、ドイツでは60年かかっています。先進国の中でも、これほど高齢化のペースが速い国は他には見当たりません。
高齢化が進むと一番問題となるのは、国民一人一人の生活水準が低下していくことです。
具体的には働く人が少なくなるため、経済全体として供給力が不足します。現在、一人当たりの生産額は増加しているとはいえ、
若い世代の負担は大きくなるばかりで世代間格差が広がりつつあります。
豊かな生活を送れた世代もあれば、物資面や医療、教育などの公共サービスを満足に受けられなかった世代も出てきます。
ここでは、高齢化率が全国平均より低い東京23区、特に高齢化率が低い千代田区、中央区、港区の人の動きを紹介しながら、高齢化のスピードが緩やかな理由を紹介していきます。
2010年の日本全体の高齢化率は23.0%ですが、東京23区では20.2%です。国内の中では、高齢化率に差があることがわかります。
総務省統計局が発表した平成23年10月1日現在推計人口では、高齢化が進んだ地域を多い順に紹介すると、秋田県29.7%、
島根県29.1%、高知県29.0%、山口県28.2%、山形県27.6%と続いています。 平均23.0%を上回る都道府県は、全部で35都道府県にもなります。
さらにエリアを絞ってみれば、北海道の夕張市は43.8%、千葉県浦安市は11.7%というように地域によってとても差があります。
東京23区内でも地域差があり、特に千代田区、中央区、港区の3区は高齢化率が下がっています。
国勢調査のデータでは、この東京3区の人口は2005年度から2010年にかけて増加しています。全国平均ではわずか0.2%の増加ですが、
東京23区総合では5.4%、千代田区12.8%、中央区24.8%、港区10.4%の増加率です。
そして、2010年度の高齢化率は全国平均=23.0%、東京23区全体=20.2%、千代田区=19.2%、中央区=15.9%、港区=17.2%、となっています。
データからは、3区は人口が大幅に増え高齢化率が下がった、つまり65歳以下の人が多く移動してきたということがわかります。
そしてこの3区においては、単純に若い人が多く移り住んだというわけではなく、人の出入りが活発だという特徴もあります。
国勢調査のデータを見れば、この3区は転入・転出率も高いことがわかっています。転出率は23区内で第1位は千代田区、
4位港区、7位中央区となっています。転入率は第1位中央区、2位千代田区、3位港区となっています。
人が絶えず出入りすることでエリアの新陳代謝が活発に行われており、街が活気にあふれていること、若い世代にとって魅力的なエリアだということがわかります。
現在の状況からもわかるように、高齢化が進んだエリアとそうでないエリアとは、住みやすさに大きな差があります。
高齢化が進んだエリアは地方の過疎地域に多く、人々は長年その場所に住み、交通事情もさほど変わらないのが現実です。
大きな商業施設ができることもなく、昔とほぼ変わらない生活を送っている人が多く、他の地域から新しい人が移り住むこともほとんどありません。
そして高齢化が抑制されたエリアでは、10年も経てば新しい商業施設や住宅などがどんどん建て替えられて、街の景観がガラリと変わり、常に20~30代の若者が集まってきます。
交通機関も発達し24時間営業の店が多く、眠らない街として常に活気あふれていますが、子育て環境も整っているなど、さまざまなサービスの選択肢が多くファミリー世代も不自由なく暮らせます。
区の政策としても、現役世代の方が多ければ税収も確保でき、高齢者対策より住みやすさに主眼を置いた政策も可能になってきます。
日本は少子高齢化社会に突入しています。
2010年の国勢調査では、総人口は1億2726万人で前回調査より24万人減少し、高齢者の割合は25.04%となりました。
この数字は、65歳以上の高齢者は過去最高の3186万人、4人に1人が65歳以上になったことを表わしています。
2024年には30%を突破、2035年になれば3人に1人が高齢者になる見込みです。
日本全体としては、生まれる子どもの数は減っており高齢者の人数が増えています。
総人口に対する高齢者の割合は以上のようになっていますが、実際には人々は引越しをして国内を移動するので、地域ごとにおける高齢者や子どもの割合は違ってきます。
東京における少子化の現状を紹介しましょう。
全国規模の子どもの人口は年齢が低いほどその数が減っているのに対し、東京では0~4歳の数が逆に多くなっています。
そして0~14歳までの人口は、2000年から2010年にかけてその割合が5.1%増えました。
都内においては子どもの数が増えており単純に少子化とは言えません。
東京で子どもの人数が増えている理由は、その親世代である20代後半から30代前半が数多く転入しているためです。
この世代が東京23区内の全人口に占める割合は、16.3%で、全国平均の12.3%の1.3倍以上となっています。
なぜこの世代の転入が多いのかというと、会社が数多くあることや交通の利便性が高いこと、小学校から大学まで、
国公立、私立を問わずその数が多く教育環境が充実していること、商業施設、娯楽施設も豊富で豊かな生活が不自由なく送れることが考えられます。
東京の人口増加は、1997年ごろから都心の地価が下がり、低金利政策でマンションが数多く建設された頃から始まったと言われています。
日本は国全体としては少子高齢化社会に突入しているとはいえ、東京のような「都市部」には若い世代が多く集まることがわかります。
23区内は交通アクセスが良いのはもちろんですが、自宅から最寄り駅、自宅周辺徒歩10分圏内の商業施設や公共サービス施設のチェックも欠かせません。
スーパーや商店街の数が多く営業時間も長いことや、子どもの塾や習い事ができる場所が多いことも重要です。
また保育施設の数や待機児童の数が少ないこと、医療施設やそのサービスの充実度は共働き世帯にとってはエリア選びに不可欠な条件です。
この他にも自宅から学校、駅までは横断歩道やガードレールなど道路が整備されていること、近所の公園はどうか、
遊具の安全面やトイレなどの設備、ゴミの散乱状況、夜間の人通りなども子育てにとっては見逃せないチェックポイントです。
そして子育てに選んだ場所は、その子どもにとっては自分の故郷となる場所です。
子ども自身がその場所を好きになれるかどうか、思い出が作れる、育った場所を思い出すことができる風景や建物があるかどうかも、子どもの将来に少なからず影響を与えます。
日本の首都東京は、2020年東京オリンピック開催決定を契機により注目度を高めています。
東京都は、中心となる東京特別区の23区と西側に多い市町村、そして小笠原、大島、三宅、八丈といった島嶼部から成る大都市です。
世界でも類を見ない交通網の発達と治安の良さを活かし、日本中の大企業の本社の多くは東京都内に本社を構え日本の経済活動を支えています。
また有名大学も多くあり、日本全国から優秀な学生が多く集まる場所でもあります。
このように働く、学ぶだけでなく、隣県にあるテーマパークを始めとする娯楽施設や文化施設もたくさんあります。
そして食料品、日用品も国内産、輸入品ともに品数も多く商業施設の営業時間も長いので買い物に困る心配もありません。
このような環境を求めて、東京には国内から多数の人たちが移り住むようになり、ヒト、モノ、カネが常に活発に動いています。
東京の暮らしやすさは、不動産市場にとっては大きなメリットであり、現在東京はマンション経営における国内で最も潜在力のある場所だと言われています。
そして、世界的からも注目を浴びています。
中でも都心部の23区は、それぞれ特徴があり、オーナー様にとっては、それらの特徴を十分研究して物件選びをすることがマンション経営成功の秘訣といえそうです。
東京都全体では世界第4位の高評価を得ていますが、都内ではエリアごとにそれぞれ特徴があります。
物件を探している人にこのようにたずねられたとしても、住みよい場所は、お客さまの年齢や家族構成、経済力、ライフスタイルによって千差万別です。
自分にとって住みよい場所を探すには、都内のエリアの特徴を十分に研究し、自分の好みやニーズ、そして家賃が予算に合っているかどうかをチェックしてください。
日本は少子高齢化時代に突入し、国全体の人口は減少へと変わりつつあります。
この時代の流れに伴いいずれは「消滅する」と予測されている自治体が国内にはいくつかあります。
東京都内も少なからずこれらの社会情勢の変化を受けており、住みたいエリアとして人気が高いエリアもあれば、生活は便利でも高齢者が多く、
居住者の出入りが活発でないため、若い世代が増えにくいエリアもあります。
人気が高いエリアは、物価も高めですが生活水準が高く、物件も価格が高いものが多いことからファミリー向けとは言えませんが、独身世帯には大変魅力的なエリアです。
ファミリー層に人気があるエリアは、生活の利便性が良く、東京の中心部から少し離れていても、1時間以内で都心へ移動することができる場所です。
都内23区では、このように場所によってさまざまな特徴があります。
東京の住みよい街を探る1つの方法として、23区内での人気賃貸住宅エリアを調べてみると、
1位は文京区、2位は世田谷区、以下、杉並区、江東区、目黒区、北区、墨田区と続いています。
1位の文京区は、東京大学や私立中・高・大学の数がとても多いのが特徴です。
集客力のある、トレンド最先端を行くような商業施設はないものの、医療関連産業が多く、犯罪発生件数も23区内では目黒区についで低く治安の良さが魅力的なエリアです。
2位の世田谷区は、日本国内においても認知度、好感度の高いエリアです。
成城をはじめとする高級住宅街、ニコタマといったショッピングエリアなどが有名ですが、人口も23区内第1位、面積は第2位で住みやすさも文句なしの人気エリアです。
第3位の杉並区は、東京の山の手エリアの代表区です。
区内で最も専業主婦率が高いことでも知られていますが、20代の人口割合が高く、若者向けの店も数多くあります。
日本はもちろん世界でも有数の繁華街がある新宿エリアです。
今回の観測範囲である新宿駅を基点とした周囲1kmの中には、小田急、京王、高島屋タイムズスクエア、伊勢丹などの百貨店の他にルミネ、
ミロードなどもあります。また日本一の歓楽街、歌舞伎町もあれば、多くの超高層ビルを構えたビジネス街といった側面もあります。
それ以外にも、新宿御苑や東京都庁などがあり、本当にさまざまな顔を持ったエリアです。
さらに2016年3月には新宿駅新南口駅舎跡地に、オフィス、商業施設、文化施設を備えた地上32階、地下2階の超高層ビル、
JR新宿ミライナタワーがオープンするなど今も発展を続けています。
基点となっている新宿駅の一日平均乗車人員は、748,157人。これは日本で一番多い数字となっています。
これに新宿駅に乗り入れている地下鉄、私鉄さらに新宿エリアには西武新宿線の駅もあり、これらすべてを合わせると150万人以上という数字になります。
また乗車人員ではなく乗降人員で見ると350万人を超え、これは、日本はおろか世界一の多さでギネスブックにも掲載されています。
ビジネス街と繁華街が中心となっているエリアのため、昼夜問わず人の数だけは多いものの、
実際に住んでいる人の数は他の特区エリアと比べてもそれほど高くはありません。マンション経営することを前提で考えた場合、
学生向けやファミリー向けマンションといった需要よりもビジネス向けの事務所であったり、社員寮、
単身者向けワンルームマンションといった形で戦略を練った方が需要は見込めるでしょう。
2015年の新宿エリアの地価公示額は6,498千円/㎡で、2014年に続いて600万円を超えています。
この金額は東京特区エリアの中でも丸の内に次ぐ高さで、新宿エリアの過去10年の金額の中でも、
2008年の7,319千円/平方メートル、2009年の6,941千円/㎡に次いで3番目に高い数字となっています。
さすがにこれだけの高値となると、簡単には手を出せなくなりますが、2020年の東京オリンピックに向けまだまだ地価は上がっていく傾向にありますので、
しっかりとした戦略と資金が備わっていれば、おすすめのエリアであることは間違いではありません。
新宿駅を中心にほぼ商業地域となっているこのエリアですが、マンションは新宿駅、新宿御苑、都庁、
歌舞伎町の周辺以外に多く建設されています。用途地域で見ると、代々木周辺がわずかに第二種中高層住居専用地域となっています。
新宿エリアの銀行、警察、病院等の数を見ていきます。何度も言及しているように日本有数の繁華街でもあり、
ビジネス街でもあるエリアのため、これらの数もかなり多くあります。
銀行は、新宿駅周辺を中心に郵便局も含めると50以上あります。また警察も西口の超高層ビル群の中にある新宿警察署を始め、多くの交番を有しています。
特に大歓楽街である歌舞伎町周辺には多くの交番が設置されています。
病院はJR東京総合病院、東京医科大学病院などの総合病院や歯科、内科、耳鼻科等さまざまな病院が揃っています。
場所的には新宿駅周辺が一番多いですが、それ以外のエリアでも病院の種類、数は問題ありません。
1日の平均乗降客数世界一を誇る新宿駅。JRは山手線、埼京線、中央線、総武線の他、湘南新宿ライン、成田エキスプレスが走っています。
私鉄は京王、小田急の2本。地下鉄は新宿線、丸の内線、大江戸線の3本となっています。またエリア内には西武新宿線、副都心線もあります。
中央線、東武線の他、特急も数多く走っており、近隣はもちろん千葉、群馬、長野、山梨、神奈川など首都圏のどこへ行くにも不便はありません。
バスも一般路線で都営、関東、京王、小田急、西武バスがあります。また関西、四国、中国、北陸、東海、甲信、東北へ向かう高速バスも充実していて、全国各地へ向けて走っています。
続いてショッピング環境です。新宿駅に隣接してミロード、ルミネエスト、サブナードなどのショッピングエリアがあります。
また小田急、京王、高島屋タイムズスクエアなどの百貨店も駅から徒歩3分圏内です。
伊勢丹、マルイ、アルタ、西武新宿ぺぺ、サザンテラス、オペラシティ、そしてヤマダ、ヨドバシ、ビックなど家電量販店も揃っていて、ショッピングを楽しむ場所は挙げればきりがありません。
また博物館、美術館などの文化施設や映画館、新宿御苑など憩いの場も多く、老若男女誰もが楽しめるエリアとして常に多くの人でにぎわっているエリアです。
新宿エリアの周辺環境、最後は大学、専門学校などの教育機関です。これまでご紹介してきたように、
新宿エリアは駅を中心に繁華街やビジネス街がそのほとんどを占めているようですが、大学、専門学校医といった教育機関も少なくありません。
まず大学ですが、工学院大学、宝塚大学があります。他、観測範囲を少し外れたところに東京医科大学もあります。
専門学校は医療、デザイン、調理師、電子、外語、ビジネス、美容、服飾などあらゆるジャンルの学校が駅周辺だけでも20近く存在しています。
新宿エリアの人口分布を見ると女性に比べ、男性の方が多くなっています。特に15歳~24歳の大学、専門学校に通う年代は全体の中でもかなり少ない上、圧倒的に男性が多いという特徴があります。
学生向け物件サイトなどの調査によると、男性と女性では女性の方が高い家賃を払う傾向があります。そういった観点から見ると、
新宿エリアで学生向けのマンションに投資することは、空き室リスクが高くなる上に、仮に入居したとしてもそれほど高い家賃は見込めないと予測できます。
これまで、7つの特区エリアを見てきましたが、ほとんどのエリアで女性の方が多いという結果が出ていました。
しかしこの新宿エリアに関しては、サンプル数が150と少ないものの、女性よりも男性の方が多くなっています。
年齢別で見ると60代の男性が飛び抜けて多く、続いて20代前半の男性、50代男性、その次に60代以上の女性となっています。
前項でも少し触れましたが、40代以下の女性はかなり少なく、学生に限らず女性単身者向けマンションの需要はかなり低いのではないかと読み取れます。
上述したようにサンプル数が少ないため、一概には言えませんが新宿エリアは住居用というよりは事務所などビジネス用途のマンション需要の方が高いでしょう。
ただし公示地価が高いということもあり、同じようにビジネス向け物件をおすすめとした渋谷エリアのように20代~40代といった若年層が圧倒的に少ないため、
このエリアではそれよりも年齢層が高い50代以上向けの方が投資成功の確率は上がると考えます。